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「やーーーっ、もうっ!!!」 突然大声を出した祐羽に九条の動きが止まる。 「やめてくださいってば九条さんっ!!!」 祐羽の抵抗に九条が眉間に皺を寄せる。 「何で止めなきゃならん」 フンッと益々不機嫌になる九条に一瞬怯むが、祐羽もムッとする。 理由も分からず不機嫌な恋人に抱かれるなんて、絶対に嫌だった。 「だって…九条さん、何か怒ってますよね?」 負けない!と目に力を込めて九条を見返した。 九条とずっと一緒に居ると決めて、今こうして付き合っている。 けれど何かを我慢していると、そのうち心がモヤモヤしていってきっと付き合うことがしんどくなるだろう。 そして、次第に心が離れていくのだ…。 そんな問題も、お互いの気持ちを伝え合うことが1番の解決策であり長続きするコツだとテレビかネットか何かで言っていた。 実際に祐羽もそう思っている。 ただでさえ、九条は口数が多くないし表情の変化も乏しいところがある。 ちょっとした感情は分かる様になってきたものの細かい機微なんて理解しきれるはずもなく…それならば言葉に出して貰った方が良いに決まっている。 年齢差もあるのだから、ギャップも色々とあるだろう。 男同士という以外でも諸々と問題はあるのだから、出来る所で気持ちの結びつきは強くしておくにこしたことはない。 祐羽はそれだけ九条とのことを本気で大切に思っている。 だから今のうちに確認しておきたかったのだ。 「………怒ってない」 「やっぱり怒ってるじゃないですか」 「怒ってないと言っている」 「でも、いつもの九条さんはもっと優しいですもん。…今は目が笑ってないです」 「…」 「九条さん、いつも僕を見るとき優しい目をしてくれてるのに…今は、怖いです…」 祐羽は少し迷ったが素直な気持ちを伝えてみた。 付き合う前もそうだが、九条が自分に理不尽な乱暴を働くことは、体を貫かれた事を抜きにすれば一切なかった。 九条の自分に向けられる優しい目が密かに大好きだったりする。 その視線を向けられないのは、辛いのだ。

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