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「お願いします、九条さん。何かあるなら言って欲しいです」
九条さん、僕。
九条さんと一緒に居たいんです。
だから…。
「僕が悪かったなら謝ります。だけど…言って貰えないと僕は鈍いから分かりません」
押し倒されたままの状態で、祐羽は九条をジッと見つめ訴えた。
こんなことを言ったら九条の機嫌が益々悪くなるかもしれない。
よく考えると生意気な事を言ったと思う。
自分で色々と原因を考えて対応して、それからでも伝えるのは良かったのかもしれない。
けれど、そんな自信も無い。
これで九条が本気で怒ったら…そんな心配もあるけれど自信が無いのだから教えて貰うしか方法はない。
機嫌が悪くなるだけならいいが、怒って恋人関係解消の可能性があるのでは…。
それって、フラれるってこと?
サァーッと血の気が引いていく。
自分で考えてその可能性に行き着いた時、祐羽は最悪な形を脳裏に浮かべた。
いや、そんなことが起きるわけがない。
九条とつきあってまだ数ヶ月だし、なかなか会えない事も多い。
けれど、会った時は本当に幸せな時間を過ごしている。
それはきっと九条も同じだと思っている。
九条さんと僕はこの先も…
「フゥ…」と九条が溜め息をついて身を起こした。
それから祐羽を見ると、
「お前みたいな生意気なヤツとは別れる」
九条が言った。
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