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酸欠寸前、ようやく解放された祐羽はゼーハーと胸を喘がせて呼吸を整えると軽く九条を睨んだ。 睨んだところで祐羽の視線など痛くも痒くもない九条は表情に大きな変化はなくとも、やっぱり何処か楽しそうだ。 「なんだ?何か言いたいことがあるのか?」 「あるに決まってます」 「ほう…言ってみろ」 九条に促されて祐羽は、むうっと口を尖らせた。 「これから出かけるのに、なのにあんなキ、キ、…キス、しないでください」 キスという単語さえ恥ずかしい祐羽にとって、濃厚なキスは同じくらいに恥ずかしい。 「…」 「…お願いします」 「…」 「…な、何か言ってください」 「却下」 「え?!」 却下?却下って、ダメってことだよね?! 「でもっ、困ります!」 「何でだ?言ってみろ」 「何でって…それは…」 なんだか体がゾワゾワしてムズムズしてくる…そう。あの感覚を思い出す様になってきたからだ。 知らなかった頃には戻れない。 中身はまだまだ子どもでも、体は九条によってもう大人の仲間に一歩踏み出していた。 九条さん、きっと分かってるんだ。 きっと僕に言わせたいんだな。 でも、そんなこと言わないもん。 「もういいです」 祐羽は眉を垂らして溜め息を溢した。

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