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並んでフェリーへ乗船する。 組員の人数が減ったといっても目立つなというのが無理な話で…。 「…目立ってる」 思わず祐羽は溢した。 まず、みんな身長が高い。 そして顔がいい。 オーラがある。 そこに、ちんちくりんな自分。 注目を浴びても仕方ないとはいえ、視線が痛い。 ヒソヒソ話も耳に入ってくる。 とはいえ若い女性はそこまで多くないのが有り難かった。 観光目的で来ているので、フェリーが宮島へ着いて下船した今、ようやく視線から解放された。 「着きましたね」 船から地に足を着けた祐羽は九条を見上げて、それから景色に視線を向けた。 フェリー乗り場から出た先は夏休みということで、どこを見ても観光客だらけだ。 有名な観光地、世界遺産なだけに、日本人だけでなく外国人も多い。 「迷子になるなよ」 「はっ?な、なりませんよ~」 九条にそんなことを言われて祐羽は唇を尖らせた。 それから九条の真横にピタッとくっついた。 「これなら絶対に迷子になりませんから」 「そうか」 「はい」 方向音痴な祐羽だが、これなら安心だと頷いた。 それに眞山さんや中瀬さんも居るんだから、今日はそんな事にはならないもんね。 なんて思いながら意気揚々と足を踏み出そうとすると、九条が「おい」と声を掛けてきた。 何ですか?と疑問に思いながら顔を上げると、まさかの言葉が降ってきた。 「腕に掴まるか?」 は?今、何ていいましたか? 祐羽の思考は一瞬停した。

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