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腕、掴まるか?…腕、…えっ?えっ? それって腕を組むかってこと? まさかの九条からの提案。 腕を組んだことはもちろんある。 もちろんあるのだが…。 祐羽の頭には、自分が九条の腕に腕を絡ませて並んで歩く姿。 それを後ろの組員達がニヤニヤ笑って見つめるている…それを想像して心の中で全力で首を振って否定した。 ムリムリムリ!! 恥ずかしくて無理だよ!! こんなにたくさんの人、そして組員の前で腕を組んで歩くなんてハードルが高すぎる。 自然と組んでいましたならいいが、提案されると恥ずかしすぎる。 祐羽はカーッと顔を赤らめた。 それから、まともに九条を見ることができず視線をゆっくりと逸らした。 その先には鹿。 鹿…。そうだ。話題変えちゃおう。そうしよう。 「あっ!九条さん、見てください。鹿ですよ!!」 恥ずかしさを誤魔化す為に、祐羽は九条の隣から逃げ出した。 「逃げたか」 そう面白そうに呟く九条に気がつかないまま、祐羽はさっそく鹿に手を伸ばしていた。 「あ~もう、不意打ちで九条さんってば…心臓に悪すぎるよ。ね、鹿さん」 嫌がられるかと思った鹿だが意外と人懐っこい。 鹿の頭をよしよししながら、祐羽が訴えると、鹿も返事をする様に頷いた。 「やっぱり?いつも九条さんはそうなんだ。僕の気持ち分かってくれる?」 鹿が祐羽の顔を見て頭をウンウンさせた。

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