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九条を見送った祐羽は中瀬と柳、それから護衛に3人含め6人で宿泊ホテルに入っているレストランへ向かうことにした。
高級料理店に何度も連れて行って貰っているとはいえ、やはり自分には身分不相応と感じてしまう。
店の前には毎日変わるという二種類のコースメニューの記されたお洒落な額が飾られていたが値段の記載は無く、祐羽は(幾らなんだろう)と身構えた。
そんな祐羽に中瀬は「金なら気にするな。社長から何でも食べろって言われてるから」と笑ってみせた。
そうは言われても…と、祐羽は中瀬にくっついて店内に足を踏み入れた。
店内はホテルの上階にあるスタイリッシュなフレンチの創作料理店だ。
汗を流して着替えたのでドレスコードは万全だが、お子様な祐羽はやはり自分でも浮いている様な気がする。
中瀬も若いが流石、溶け込んでいる。
やっぱり大人なんだなぁ…それにオーラかな?
よし、僕も大人っぽくしよう。
キリッと気を引き締めた所に店員が頭を下げた。
「いらっしゃいませ。ご予約は、」
「九条で」
「九条様…!お待ちしておりました。こちらへ」
九条の名前に店員がハッとしたところをみると、どうやら馴染みらしい。
店内のテーブル席を横切り案内されたのは半個室となっている奥のテーブルで、祐羽が奥へ押し込まれた。
その両隣に中瀬、柳が席につく。
それから廊下側へ付き添いの組員3人が立った。
「えっ?!皆さん、座らないんですか?」
「仕事ですので」
そのうちの1人がそう言う。
「でも、もうこんな時間ですよ?一緒に食べませんか?」
「いいんだよ。社長の留守を任されてるんだから」
「でも、それじゃぁ僕が落ち着いて食べられませんもん…。みんなで食べたいです…」
組員3人に視線を向けた。
「ダメ…ですか?」
祐羽は無意識に上目遣いで訴えていた。
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