670 / 1012
11
ただでさえ祐羽との約束が流れて、その代わりではないが部下が一緒に楽しく食事をしているのだと思うと九条の機嫌もどこか悪く…。
オマケに毎度お馴染み、興味の無い見合いと結婚の話。
完璧に九条の表情が死んでいる。
これ以上、会長の機嫌を下げないでくれ!と眞山は念を込めた。
それを言うと、紫藤も集まれば同じ様に口うるさく言われている。
この攻防をどう思っているのか?と横に座る外崎を見た。
すると外崎は、その綺麗な唇を軽く引き結んで紫藤を見つめていた。
そうだよな。
お前も毎回こんなやり取りばかりで辟易するよな。
俺もだ。
会長には今恋人が居るんだから余計なお世話だって思うんだが、言えるわけないもんなぁ…相手は男の子だし。
それにしても紫藤にも誰か決めた相手が居るんだろうか?
いや、それならもう親に紹介くらいはしていると思うが…と眞山が頭で色々と考えていると隣の外崎に声が掛けられた。
「そういえば外崎。そろそろワシのところに世話になりに来んか?」
「ちょ、俺のところに来る予定なんだぞ?」
どうやら引抜きの話らしい。
「申し訳ありませんが、」
複数の親分衆が揉め始めると、外崎が口を開いた。
「私は隆盛さんのお側に仕えると誓っておりますので、諦めて頂けますようお願い致します」
堅苦しく挨拶をした外崎が視線を巡らせる。
「隆成さんが居る限り、私も居ますので」
暗に紫藤を大切にしろ、紫藤の地位を確固たるものにしておけば、自然とオマケの自分が付いてくるよ、いつでも会えますよと言っている。
「これからも隆成を盛り上げてやるから、その時にはまた外崎、お前も必ず顔を出せよ」
「はい」
綺麗な顔で微笑む外崎を見て、眞山は(やり手だな)と感心したのだった。
ともだちにシェアしよう!