671 / 1012

12

外崎が普段からプライベートでも紫藤の身の回りの世話をしているというのは知っていたが、単にそれだけでなく右腕としても優秀だと分かる。 眞山は、自分も今まで以上に九条の力になれるように気を引き締めた。 その為の第一は、九条の悪くなった機嫌を直して貰うことだ。 その方法は祐羽を人身御供にするしかないので早くホテルへ戻るしかないが、親分衆の様子からするとなかなか今夜の宴は終わりそうになかった。 ・・・・・ 「九条さんの?」 目の前に立つ男を見上げながら祐羽は呟いた。 名前を知っているということは、確かに九条を知っているのだろう。 しかし、どういった知り合いなのだろうか。 「九条」と苗字で呼ぶのだから、親戚などではないのは確実だろう。 呼び捨てということは、親しい間柄なのかもしれない。 けれど、いくら九条の知人といえど初対面の自分のアソコを覗いて失礼なことを言う変な人なので、ちょっと警戒してしまう。 「あれ?もしかして俺、まだ警戒されてる?」 「…っ」 してます。とは言えず言葉に詰まる祐羽に男が優しく笑った。 「あ~それもそっか。あんな変態発言しちゃったもんね。でも綺麗な可愛いちんこってのは嘘じゃないよ♪あっ、また言っちゃった。いやマジで、本っ当~にゴメン!!」 男が顔の前で両手を合わせて謝った。 「許して。ね?」 それからパチンッとウインクしてみせた。 なかなかウインクする人間は見かけないが、この男がすると様になっていて嫌味もない。 茶目っ気もあり普通にカッコいいのが憎らしい。 「むぅ…。はい」 その空気に呑まれた祐羽は、元々お人好しなのもあって取り敢えず許すことにして頷いた。 「あ~良かった!君って、見たまんま純粋なんだねぇ~。あの九条が囲っているのも納得だ」 かこう?かこうって何。 どういう意味だろう? 意味が分からず頭を捻る祐羽にはお構い無しに、男が話を続ける。 「この殺伐とした世界に身を置いていると癒しが欲しくなるものだしね。放っておいても次から次に来る女にはもう飽きたのかな?」 男はチラリと意地悪い視線を向けてきた。

ともだちにシェアしよう!