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少しでも紫藤が他に気を取られていると、スーツ越しとはいえ尻を揉んだり割れ目に指を入れたり、乳首を摘まんだり耳に息を吹き込んだり。 外崎の小さな悲鳴で紫藤が気がつくパターンも多い。 紫藤がキレたこともあるが、しかし怒ったところでどこ吹く風。 この塔ノ沢という男は見た目イケメン、中身は変態で腹黒という最悪なタイプだった。 「お前が来ると分かってて連れて来るわけないじゃろうが」 忌々しい悪魔に言うように紫藤が睨むと塔ノ沢は口を尖らせた。 「残念。まぁいいや。近々また会えるだろうし」 塔ノ沢がご機嫌にそう呟くと、紫藤も鼻で笑う。 「お前が来る場所に誰が連れて行くか」 「俺たちまだまだ下っ端だからね。なかなか会う機会が無いのも事実。俺から会いに行っちゃおうかな」 「俺の家に入れると思うなよ」 紫藤の身の回りの世話を全て担っている外崎はもちろん住み込みだ。 玄関先で追い返せば問題ない。 「あっ、そういえば。九条も可愛い恋人が出来たとか風の便りで聞いたよ?」 今度は九条へターゲットを変えたらしい塔ノ沢は、軽い口調で訊ねてきた。 風の便りといいつつ九条の動向を普段から部下を使って見張らせている男だ。 祐羽のことも調べさせたに違いなかった。 同じ系列の組織ではあるが、元々は別の派閥に居ただけに塔ノ沢は、その言動から九条、紫藤にとっては未だに気を抜けない相手であった。 「おーい、九条。お得意のだんまり?まぁ隠そうとしても俺、知ってるよ」 「…」 九条が不機嫌な視線を向けても全く動じないのが、この男のやっかいな所であった。 「いやいやまさか、女をとっかえひっかえのモテ男の九条が……男の子とはね」 最後はヒソッと九条にだけ伝わる声量で塔ノ沢は言った。 周りに気を使っているというよりは、九条の反応を楽しんでいる。 こんなことで慌てることも焦ることもないが、その手管が気に食わず思わず九条は睨みを強くした。

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