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ドアが開いたかと思うと、男が顔を出した。 それは祐羽をこの部屋へと連れて来たあの男で、今度は何だと身構えたがどうやら食事を持って来てくれたらしい。 「これでも食っとけ」 そう言ってドアの近くにある箪笥の上にコンビニのビニール袋が置かれた。 それだけ言うと男はドアを閉めて出ていき鍵の施錠音がすると、また外で何やら会話が聞こえ静かになった。 「ふぅ…緊張した」 中瀬がそう言いながら胸を撫で下ろすと、直ぐにビニール袋を取りに向かう。 取り敢えず危害を加えられず安堵した祐羽と外崎も立ち上がると一緒に中瀬の元へと向かった。 「まずはコレを食べときましょう。いざというときの体力は必要なんで」 「そうだね」 「あと、お前はこれで少し冷やしとけよ」 そう中瀬に言われて渡されたのは、よく冷えたペットボトルのお茶だった。 有り難く受け取った祐羽は腫れた頬にペットボトルを押し当てた。 冷たくて気持ちいいので足の打撲にも交互に押し当てた。 これで少しでも腫れが引くといいのだが。 それから三人でソファに座り中に入っていた飲み物とおにぎりを分ける。 「あ、プリン」 中からプリンも出てきて、拉致監禁している相手にデザートとは優しいのか優しくないのかと少し驚く。 そのプリンを見て祐羽は楽しかった時間を思い出した。 みんなで観光地を巡り、スイーツフェスタでは有名なプリンも食べた。 あの時はまさかこんなことになるとは思ってもおらず、それは中瀬と外崎も同じ様でプリンを手にして暫くじっと見つめていた。 九条さん…。 祐羽はここには居ない九条の顔を思い出して思わず目を潤ませた。 一方、市内の某会場では式が淡々と進んでいた。 儀式も終わりに差し掛かった頃、眞山のスマホに着信が来た。 ※ほのぼのオメガバース編を大きく改変し再度投稿しました。興味ありましたらお願いします。

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