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次々に思い出の中の九条が浮かんでくる。
無表情だったり呆れていたり、そして優しく微笑んだ顔だったり。
それから、最後に銃で撃たれて倒れた九条の姿がイメージで湧いてそれが現実になる可能性を改めて感る。
その瞬間、全身が恐ろしい程ゾクッとして思考が混乱を起こす。
これは想像で九条が実際に撃たれた訳ではない。
それなのに想像だけでこんなにも絶望感を味わうのだから、もしこれが本当に起きたとしたら…?
全ての血を抜かれたかの様に蒼白した祐羽に気がついた中瀬が「おいっ!しっかりしろ!!」と揺さぶった。
意識が完全に飛んでいた祐羽は幾目かの声掛けに漸く我に返った。
「っ!……すみませ、」
謝りつつも手が少し震えている。
そんは祐羽を見て中瀬が頭ごと抱え寄せた。
「お前のことは俺が守ってやる。だから諦めるな、しっかりしろ!」
「中瀬さん…」
「怖くて仕方ないと思うけど全力で守るから、気持ちをしっかり持って。ね?」
外崎がその白くて綺麗な手で祐羽の震える小さな手を優しく包み込んだ。
「…はいっ、はい。僕、絶対に外崎さんと中瀬さんと一緒に帰ります」
祐羽は涙が溜まりそうになる目元を擦って泣くのを耐えた。
「ちょっと、今、九条さんにもしものことがあったらどうしようって…それで」
そう溢した祐羽に外崎が思わずといった風に中瀬と反対側から抱き締めてきた。
「君って子は…っ。いつの間にか私達と同じところに立っていたんだね」
「お前、ただの会長のオンナじゃないな。お前はもう立派な恋人兼右腕だな!」
右腕?僕が、九条さんの?
「会長を助けたい、また会いたい思いがあるなら頑張ろうぜ。絶対にみんなで助かるんだ」
そうだ。みんなで絶対に助かるんだ。
中瀬の言葉に祐羽は涙を堪えて大きく頷いて見せた。
その様子に安堵した中瀬は、敢えて明るい声を上げた。
「よしっ!絶対に帰るぞ!!」
「はい!」
「頑張ろうね」
三人は顔を見合わせて力強く頷いた。
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