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「…それにしても今何時かな?」
「何時ですかね?」
三人で気合いを入れたのも束の間、気持ちはあっても具体的に九条達との連絡手段やここからの脱出案は何もない。
時間だけが過ぎていくのは本当に恐ろしい。
そんな気持ちの表れか、外崎の疑問に祐羽も首を傾げた。
時刻は何時かは分からないが、夏なのに外が既に暗くなっていることを考えると夜も八時は過ぎているだろうことだけは分かる。
「警戒は解けないけど、取り敢えず早目に寝て体力温存しときましょう。いざって時に逃げないとだし」
「うん。確かにそうだね」
中瀬の提案に外崎が頷いて、祐羽も大きく頷いた。
有難いことに豪華なソファーセットのお陰で三人何とか寝ることが出来そうだ。
掛ける布団が無いのでエアコンの温度調節をして寝ることにしたのだが、それから少しして祐羽は不味い状況に陥っていた。
「……っ」
ゴロンと寝返りを打ってみたり、別のことを考えようとするが到底無理だ。
ど、どうしよう…。
おしっこ行きたくなってきちゃった。
こんな緊張した場面でも生理現象を抑えることは難しい。
「どうした?」
何度も寝返りを繰り返していると、様子に気がついた中瀬が声を掛けてくれノロノロと祐羽は顔を上げた。
尿意を我慢している情けない顔を披露するしかない。
「す、すみません…。トイレに行きたくなっちゃって…」
「バカッ!早く言えよ。我慢は良くないんだからな。行くしかないだろ」
喉が渇いていたこともあり水分を摂った上に、夏で室内は一応冷房を効かせてあるので体が一気に冷えたのだ。
トイレに行きたくなるのは自然の事といえた。
しかし今の状況を考えるとトイレに気軽に行けるはずもなく、祐羽はなかなか言い出せなかったのだ。
「さすがに鬼畜でもトイレくらい行かせてくれると思うけど…ダメだったらさっきのペットボトルにするしかないからな」
いくらなんでもそこまで小さくは無いが、ふと修学旅行の風呂で見た同級生達と自分のアソコの大きさの違いを思い出した。
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