704 / 1012

20

当事チラチラと見てくる同級生が何人か居たので「見ないでよ!」と恥ずかしさから怒った記憶が甦る。 しかし、よくよく思い返すと(僕の小さかった気がする…。もしかして皆そう思って見てたのかも…)と、男として今更ながら気がつきショックを受けてしまう。 大きくはないと知ってはいるが、どれだけ小さいのかと思わず自分の分身へ視線を落とした。 小さい方がペットボトルへやり易いから丁度いいのでは…そう思うと複雑だが、文句が言える立場ではない。 「も…もしもの時はそれでも大丈夫です」 祐羽はペットボトルへの排尿を覚悟して承諾した。 出来ればトイレでさせて欲しいのが山々だが。 「俺も付き添ってやる。流石にお前だけで行かせられないしな。そのついでに偵察ってのはどうだ?」 ナイスアイデアだと中瀬が言うと、外崎も声を上げた。 「私も一緒に行きます。お互いに見守りながらの方が安心しますし」 「よし決まり。歩き回れなくても、少しでもアイツらの話が聞こえればラッキーだ。何か分かるかもしれないしな」 中瀬が立ちあがり祐羽も外崎と後に続いてドアの前まで歩いた。 「おーいっ、ちょっとー!」 ドアへ向かい声を掛ける中瀬の後で祐羽は心臓をドキドキさせた。 やはり暴力を奮われた記憶が邪魔をして、怖さが先に立つ。 しかし反応は無く、中瀬が今度はドアを叩いてから声を掛けてみると「何だ」と無愛想な低い声が返ってきた。 その声に祐羽がビクッと思わず反応すると、隣の外崎が安心させる様に背中に手を当てて顔を覗いてくる。 祐羽が顔を向けると、外崎が優しく笑いかけてくれていて、少しホッとする。 こんなことでいちいちビクビクしていたら、この先乗り切れない。 祐羽は唇をキュッと結んで、中瀬の背中を見た。 「トイレ行きたいんだけど」 中瀬が訴えると、間を置いてドアが少し開いた。 「…お前か」 「いや、三人全員」 「三人だと?」

ともだちにシェアしよう!