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も、漏れちゃう…!! 「うっ…ふぅぅっ」 「ここで漏らすつもりかよ」 酷い…っ! 内股でプルプルしながら睨んで来た祐羽の様子に、加藤が馬鹿にした笑みを浮かべながら言った。 「まぁ漏らされても困るからな。便所はここだ鍵はかけるなよ。さっさとしろ!」 腕を掴んで無理矢理引き摺られた祐羽はトイレへと投げ飛ばす勢いで入れられた。 「痛ッ!!」 乱暴な扱いに肘を壁にぶつけ痛みに苦悶しつつも直ぐに反対の手で急いでドアを閉めた。 漏れる寸前だった祐羽は、間一髪間に合い盛大に安堵の息を吐いた。 まっ、間に合った~っ! 「も、漏れるかと思った~良かったぁ…」 我慢していた分いつもより少し長い用を足し終えてホッとひと息つきつつ、のろのろと手を洗う。 ぶつけた肘もまだ痛いし掴まれた腕も少し痛いが、掴まれた首はもっと痛いしで辛すぎる。 首の痛みと違和感を確認していると、さっき起こった理不尽な出来事が甦る。 「はぁっ…ここから出たくない」 ここを出て加藤にまた何をされるか分からない恐怖が起こり、出来れば鍵を掛けて籠っていたい。 かといって、ここに籠っていてもドアを蹴破られたら一貫の終わりだ。 それに、もし上手く籠城出来たとしても中瀬と外崎を置いてひとり安全圏にいる訳にもいかず。 まず、この夏の気温を考えれば明日の昼には熱中症まっしぐらだ。 取り敢えず早くふたりの待つ部屋へ戻るしか今の自分への選択肢は無かった。 「…あ」 ふと耳に入ってきた虫の音に、耳を傾ける。 虫の音に外との繋がりを感じて僅かばかりだが力が湧いてきた。 「窓から逃げられないかなぁ?…無理だよね」 でも、絶対に僕と中瀬さんと外崎さん三人で帰りたい。 そういえば、お父さんお母さんどうしてるかな?会いたいよ…。 旅行へ行く自分を見送ってくれた両親の顔と声が浮かんできて、泣きそうになる。 まさか息子がこんな目に合っているなど思いもしていないだろう。 一生会えなかったらどうしようかと不安に駆られるが、それでも帰れると信じて自分が唯一頼れる存在を求めた。

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