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既に懐かしく感じる恋人の九条を記憶から探す。 九条と最後に交わした言葉は何だったろうか。 不思議と、九条なら何とかして助けてくれるはずだと信じている。 九条さんは大丈夫かな…? 無事に会えたら迷惑掛けてごめんなさいって謝ろう。 でも、もしかして怒ってるかも…。 悪い人達に捕まったせいで、九条さんの組が危ないことになるかもしれないし。 怒ってたとしても何回でも謝るから、無事に会えたら…。 「おいっ!」 突然外から怒鳴り声と共にドアを叩かれて、祐羽の頭から九条の面影は消し飛び、代わりに恐怖に体を強張らせた。 「お前どんだけチンタラやってんだ!!」 「あっ…ッ!!」 のんびりしたつもりは無かったが、待っていた加藤からすれば長かったのかもしれない。 お伺いを立てる事もなく怒鳴りながらドアを開け入って来た加藤が、大きく手を振り上げてきた。 叩かれる!! それを祐羽は咄嗟に防御態勢に入る。 小さく丸まると、それが功を奏して上手く避ける事ができた。 殴られずに済んだと安心したのも束の間、避けられた事に腹が立ったのか「このっ!!」と加藤の苛立った声と共に今度は蹴りが入った。 「ぐぅ…っ!?」 祐羽はトイレの床へと仰向けで転がった。 防御していたとはいえ、蹴られた箇所と転んで打った所が痛む。 「お前、俺を待たせるとはいい度胸だな」 加藤が唸る様に言いながら、転けてシャツの裾から露になった祐羽の薄い腹へ片足を乗せた。 「つまんねぇから遊んでやろうと思ってるのによ、いつまでのんびりしてんだ。あ?」 「うっ…ぐぅ…」 少し足に体重を掛けられて、祐羽は痛みに顔を歪めた。 痛い…お腹潰れる…っ。 祐羽が呻き続けると、漸く男が腹から足を下ろした。 解放され痛みを堪えて何とか起きようとした祐羽は、そこで動きを止め目を見開いた。 ※コメントありがとうございます(*´-`)全て読ませて頂きますが、諸事情により(2020/6/10以降)お返事は控えさせて頂きます。 また今後はのんびり更新となります。 申し訳ありませんが、ご了承くださいませ。

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