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立ち上がったものの足取りは重い。 加藤の感触が未だ体にまとわりついて、気持ちを益々重くさせる。 これで終わったわけじゃない。 加藤の最後の言葉を思い出して、祐羽は頭を抱えたくなる。 監禁されてこの状況で逃げる術は無い。 とにかくトイレへ行くだけのはずだったのに、祐羽の身体は一気にボロボロになった。 「大人しく寝とけよ」 男の言葉と共に祐羽は元居た部屋へと再び押し込まれた。 ドアが開けられて中へヨロめき入ると、中瀬と外崎が自分を驚いた顔で見ていた。 「中瀬さんっ、外崎さん…」 ふたりの名を呼ぶと、ふたりは一気に破顔した。 「戻って来た!!」 「祐羽くんっ!!」 名前を呼びながら走り寄って来たふたりに抱き締められて、嬉しさに目が潤んでいく。 「どうしてたんだよ、遅いから本当に心配したんだぞ?!」 「何もされてない?!大丈夫?!」 中瀬と外崎の言葉に再会が嬉しくて、祐羽はまた泣いてしまった。 酷いことをされたと言えばふたりは一緒に悲しんで怒ってくれるかもしれない。 しかし、そのせいで加藤とトラブルになればたらふたりに危害が及ぶのではないかと思うと何も言えなかった。 「だ、大丈夫です」 気丈に振る舞うが涙は止まらない。 「祐羽くん…」 外崎の胸に顔を埋めて頭を撫でられてぎゅっと優しく抱き締められた祐羽は、その温かさにホッとする。 そして泣きつかれて、そのまま寝てしまったのだった。 そんな祐羽を中瀬と外崎も悲痛な面持ちで見つめた。 「絶対に何かあったんだ。許せねぇ…!」 中瀬は怒りを露に呟き、自分が守りきれなかったことに後悔を滲ませる。 「なんとしてでも祐羽くんを九条さんの所に無事に返してあげないと」 外崎は祐羽を抱えたままソファへ横になると、頭を優しく何度も撫でてやる。 「せめて幸せな夢を見てくれたらいいんだけど…」 中瀬も祐羽の顔を覗き込み、脱出の為に決意を新たにしていた。

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