718 / 1012
2
「ちょっ!?お前ゴラァァッ!!これ貴重な原木の一枚板で高けぇのにぃ、傷がついとるじゃねぇか、ふざけんな!!」
紫藤が文句を言うと九条がフンッと笑った。
「箔がついただろ」
「おまっ…チッ」
九条に鼻で笑われ紫藤は舌打ちした。
溜め息をつき腕を組んで、それから九条の顔を見た。
「まぁええわ。時間が惜しい。」
「ああ」
鬱々としていた気持ちを吹っ切って、九条と紫藤はお互いに顔を見合わせると、三分程話し合う。
それから部下の方へと顔を向けた。
「今からお前らを分ける」
そう言うと紫藤は自分の組を幾つかに分けていく。
それから九条の部下も眞山によって分けられた。
「お前らは地元組事務所と滞在先の動向監視。お前らは市内から抜ける道を張れ」
紫藤組の反対では眞山が少数精鋭の旭狼会に指示を出す。
「よし。今から組分けするぞ」
ほぼここでは顔を知られていない旭狼会組員は実働部隊として、これから二次会会場へ向かい各組長と側近を徹底的にマークする。
同時に地元に残した組員に指示を出し、関東地方の組の動向も探る事にする。
今回の件は明らかに九条と紫藤に対しての宣戦布告であるならば、シマを争う相手イコール同じ圏内に居る相手だろうと睨む。
相手もバカではないだろう。
そんな簡単に分かる様な動きは期待出来ないが、それでも可能性があるならば徹底的にして損は無い。
各組員が細かい打ち合わせと実行する為に部屋を出ると、それと同時に九条のスマホが震えた。
「俺だ」
相手は加納という男で、九条の知人である。
加納は警視庁に勤める男で、もちろん肩書きも申し分無い。
ヤクザと警察が繋がっているのは極秘も極秘。
しかし九条の交遊関係は政財界にも及んでいる為、今更のことである。
暫く黙って聞いていたが、男から県警へ指示を出させたものの期待した答えは無かった。
ともだちにシェアしよう!