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「それで相手の人数が減った時がチャンスで、どこから逃げればいいかっていう話なんですけど…」 中瀬が声が真剣さを増しトーンが落ちた。 「もしかして…トイレ?」 「そうです」 外崎が訊ねると、中瀬が大きく頷いた。 「トイレの窓は小さいけど昔のタイプなので、外せば何とか出られます。そこから出て端を歩けば、アイツらが常駐してるリビングから逃げる姿は見えないです。それにトイレなら多少長居しても不審に思われないでしょ?」 「確かにそうだね」 外崎が頷き、祐羽も確かに…と頭の中に脱出をイメージする。 トイレなら行っても不思議に思われない。 そこの窓からピョンと飛び出してコソコソと逃げる自分の姿をイメージした。 うん。完璧に逃げられそう。 祐羽がニヤッと既に脱出成功をしたかの様に表情を自信に満たしていることに気づかない中瀬と外崎は、顔を突き合わせて話を続ける。 「この後、俺がトイレの窓が実際に外せるか行って確認してきます。その後ひとりずつトイレに行って具体的に逃げる為にイメージしてください」 そこまで言って中瀬が祐羽に視線を向けた。 「お前ちゃんと聞いてたか?」 「はいっ、聞いてました!逃げるイメージも出来て、僕ちゃんと逃げられたので大丈夫だと思います」 「…そうか」 「はい、頑張ります!」 祐羽が力強く中瀬を見つめると、何故か溜め息をつかれてしまった。 「頼むから無理だけはしないでくれよ」 それから三人は朝食を済ませると、作戦の実行に移った。 まずは中瀬が先鋒を切り、加藤達の様子を見つつトイレの窓のチェックに向かう。 見張りの男は交代した様だ。 前に着いていた男と違い、面倒くさそうに「トイレ?ひとりで行ってこい」と顎でしゃくった。 その姿を見て、見張りが緩くなったことに鈍い祐羽も気がついた。 これって、本当に逃げるチャンスなんじゃ? いよいよ迫ってきた脱出のチャンスに、祐羽の心臓は怖いくらいにドキドキと音を鳴らしていた。

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