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中瀬がトイレから戻って来ると、祐羽は外崎と共に駆け寄った。 「どうだった?!」 外崎の質問に中瀬が歯切れの悪い様子で説明を始める。 「いや、それが…」 結果は最悪で、昔の窓で外し方は簡単なのだが、古いだけに立て付けが悪く外れないらしい。 おまけに、それなら少しでも開こうと思い動かすだけで音がギコガコと鳴るという。 「まぁでも無理矢理体を突っ込めば、俺達なら何とか脱出は出来そうです。俺と外崎さんは下手すると引っ掛かるかも…」 男の中では断トツで細身といえども窓のサイズが小さすぎて、スルリと抜け出れる補償は出来そうにないらしい。 「お前なら行けそうだけどな」 「それじゃぁ、この後トイレに行って確認してきます」 昨夜トイレから逃げられそうとは思ったが、実際にどこまで可能が試してみるのもいいかもしれない。 チャンスが訪れた時に直ぐ逃げられる様に。 そんな風に思った時だった。 廊下が若干騒がしくなったかと思うと鍵が外され、ドアが大きく開いた。 「おいっ、お前だ。こっちに来い!」 「なっ?!やめろっ!!」 突然ふたりの男が部屋に入って来たかと思うと、中瀬を両側から捕まえて連れて行こうとする。 抵抗するものの体格の良い男ふたり掛りでは、全く歯がたたない。 「中瀬さんっ!!」 「中瀬くんっ!!」 祐羽達は男たちに飛びかかろうとするが、見張り役だった男に遮られてしまう。 そんな祐羽達の視界から中瀬が消えると同時に、男がふたりをソファに投げ捨てる。 「アイツは餌だ。殺しやしねぇから大人しくしとけよ」 その言葉に僅かにホッとした祐羽だったが、それに気がついた男がニヤリと笑った。 「まぁ、お前らのボスのことは知らないがな」

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