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動揺と混乱で回らなかった頭が、外崎のいつにない剣幕で冷静を取り戻していった。
「とはいっても、外の様子が分からないとどうにも…。きっと中瀬くんや僕達が殺されることは本当に無いと思う。といっても気は抜いちゃダメだからね。流れ弾とかあるし。それに、今の感じだと組に帰して貰えるとは…限らないから」
「…はい」
「祐羽くんは一般人だから大丈夫だよ。それに、いざとなったら僕が絶対に守るからね!」
「僕も外崎さんを守ります!」
「ありがとう。でも僕のことよりまずは自分ののことを優先させてね」
そんな外崎に祐羽が「あ」と気づく。
「外崎さん、僕って言うんですね」
それを指摘された外崎がフフッと笑った。
「プライベートでは普通に『僕』って言ってるんだけど、仕事の時は隆成さんの秘書をしているからね。ビジネスでは『私』って言ってるよ」
「そうなんですね」
「うん。…早く隆成さんの秘書が出来る、側に居られる日常に戻りたいよ」
「外崎さん…」
憂いを帯びた外崎は本当に切なくて、祐羽も九条を思い出し胸がきゅうっと締め付けられる。
絶対に九条さんに会うんだ。
諦めたりしない…!
そう祐羽が気持ちを再確認している時だった。
何やら騒がしいかと思えば、次に外から車のエンジン音が聴こえてきた。
「どこかに行くのかな?」
外崎が神妙な顔つきで窓辺に寄ると、少し開けて聞き耳を立てる。
その側に寄った祐羽も同じように外の様子を伺う。
「二台、出るみたいですね」
一台のエンジン音に加えて、新しく違う音が重なったのが分かった。
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