740 / 1012

18

・・・・・ 祐羽が決意を固めた頃、外崎は建物の二階で加藤達と対峙していた。 「あ?ここに来ておいかけっこか?時間がねぇから、さっさと体差し出せやコラァ!!」 寝室と思われる部屋に大きなベッドがふたつ。 乱れているのを見る限り、寝泊まりで男達が使っていた様だ。 祐羽には強気でああは言ったものの外崎に、ふたりを上手く振りきれる算段はなかった。 もちろん護身術は嘘ではないし、いざとなれば全力で抵抗はするが、ふたり相手どころか誰とも本気で格闘した経験など無い。 とにかく祐羽を緊急の危険から離し、かつ逃げられる時間を稼ぐ為の言葉だった。 祐羽くんが逃げられる時間少しでも稼がなくちゃ。 なんとかコイツらを倒す方法があればいいけれど…。 外崎はベッドの反対側へ逃げているが、この狭い部屋に二対一で勝ち目は無いことは分かりきっていた。 案の定、少しもしないうちに捕まってしまった。 「放せ!このっ!!」 外崎は護身術を駆使して抵抗したが、加藤はそれを力業で難なく返してきた。 慌てて足を使って暴れるが楽しそうに笑い、ベッドへと投げ飛ばされた。 「あっ…!!」 「抵抗しても、その細い腕じゃ無駄なんだよ」 小馬鹿に笑い見下ろしてくる加藤に睨み返しながら、ハッとする。 ダメだ。 これじゃぁ時間稼ぎにならない。 相手は他の仲間が帰る前に済ませたい様で、時間を気にしている。 かといってそこまで切羽詰まってはいないならば、まだ焦らすことが出来ると踏む。 時間稼ぎしている間に祐羽が逃げるか、大きな進展があり紫藤が助けに来てくれる可能性を信じて。 隆成さん…来て、くれるよね? 一抹の不安を抱きながらも、外崎は覚悟を決めて加藤を見上げた。

ともだちにシェアしよう!