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祐羽が決意を固めた頃、外崎は建物の二階で加藤達と対峙していた。
「あ?ここに来ておいかけっこか?時間がねぇから、さっさと体差し出せやコラァ!!」
寝室と思われる部屋に大きなベッドがふたつ。
乱れているのを見る限り、寝泊まりで男達が使っていた様だ。
祐羽には強気でああは言ったものの外崎に、ふたりを上手く振りきれる算段はなかった。
もちろん護身術は嘘ではないし、いざとなれば全力で抵抗はするが、ふたり相手どころか誰とも本気で格闘した経験など無い。
とにかく祐羽を緊急の危険から離し、かつ逃げられる時間を稼ぐ為の言葉だった。
祐羽くんが逃げられる時間少しでも稼がなくちゃ。
なんとかコイツらを倒す方法があればいいけれど…。
外崎はベッドの反対側へ逃げているが、この狭い部屋に二対一で勝ち目は無いことは分かりきっていた。
案の定、少しもしないうちに捕まってしまった。
「放せ!このっ!!」
外崎は護身術を駆使して抵抗したが、加藤はそれを力業で難なく返してきた。
慌てて足を使って暴れるが楽しそうに笑い、ベッドへと投げ飛ばされた。
「あっ…!!」
「抵抗しても、その細い腕じゃ無駄なんだよ」
小馬鹿に笑い見下ろしてくる加藤に睨み返しながら、ハッとする。
ダメだ。
これじゃぁ時間稼ぎにならない。
相手は他の仲間が帰る前に済ませたい様で、時間を気にしている。
かといってそこまで切羽詰まってはいないならば、まだ焦らすことが出来ると踏む。
時間稼ぎしている間に祐羽が逃げるか、大きな進展があり紫藤が助けに来てくれる可能性を信じて。
隆成さん…来て、くれるよね?
一抹の不安を抱きながらも、外崎は覚悟を決めて加藤を見上げた。
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