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「なっ…、この嘘つき!!」 「お前はたっぷり優しく可愛がってやる。だが、あのガキは逆らうなんて真似が起きねぇくらい躾てやる」 加藤は目を座らせながらそう溢すと、踵を返した。 「待って!お願いだ!!お願いだから、やめて!!何でもするから…!!」 そんな外崎の声に応えることはなく、加藤はドアの向こうへと消えて行った。 「ど、どうしよう…どうしたら」 絶望感に外崎は目からハラハラと涙を溢した。 今、祐羽を助けられるのは自分しかいないと気持ちを切り替える。 そして手足を解放しようと必死にもがき始めたが、外から車の音が聞こえてきて外崎は動きを止めた。 耳を澄ませれば、数台が止まり直ぐに階下の玄関や部屋のドアが開く音がしてくる。 中瀬を連れて出て行った男達戻って来たのだろう。 中瀬くんは…!? 今にも飛び出し中瀬の安否と動向を知りたい外崎だったが、全裸でしかも手足を拘束されたままなことを思い出す。 体をシーツの中へ隠すと、息を殺しドアを静かに見つめる。 加藤とは違い男の裸に欲情する様な人間は早々いないと思うが、自分がどう見られ易いかを知っているだけに油断は出来ない。 それだけでなく全裸という格好で大多数の目に晒されるなんて、考えるだけで恥ずかしく恐ろしい。 これから自分はどうなるのか、祐羽と中瀬の安否も気になり、外崎の心は張り裂けそうだ。 「隆成さん、早く来て…!!」 外崎は目を閉じて心の底から祈った。

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