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傷口を見続けるのは怖いので、視線を外し痛みを我慢して立ち上がる。
トボトボと陽炎がゆらめくアスファルトの坂を歩く度に痛みが増していくような気がしてくる。
小さな子どもみたいに情けなくも涙で顔をぐちゃぐちゃにして歩くが、ピタリと止まって涙を服の裾で拭った。
それから少し先の道路脇に大きな木を見つけて、そこに座り込んだ。
ちょっとだけ。
祐羽は疲れきっていた。
本当は先に進まないといけないと頭では分かっているのだが、どうしても足が進まないと。
精神的肉体的に限界が目の前まで来ていたが、外崎を助けるべく気力で再び進み始めた時だった。
どこからか車の音が聴こえてきて、祐羽は目を輝かせた。
「車の音だ!助けて貰、」
そこで中瀬のことばを思い出す。
本当に一般の人間が乗っている車なのか?
敵側の車だったりしたら?
「…もしかして九条さんかも」
期待に胸を膨らませつつも、警戒して近くの木の陰に隠れた。
もしも一般の人や九条達だったら、急いで飛び出せる様に準備をしておく。
お願いします、お願いします!
誰かいい人てありますように!
できたら九条さんがいいです!!神様お願いします!
九条さん、九条さん、九条さん…。
祐羽が固唾を飲んで様子を探っていると、自分が逃げて来た方向から黒く光る車がこちらへと走って来るのが見えた。
それを見た祐羽は驚き慌てて少し奥へと身を潜めた。
あっちから来るってことは…僕を追いかけて来たんだ。
どうか通りすぎてくれますように…!!
祐羽は息を殺して小さくなり、迫り来る車を見つめた。
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