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「う…グスッ、もう嫌だ…っ!」 横道はメインよりも細く、少し行けば分かれ道や突き当たりも多い。 その度に同じ様に行く方向を迷い足が止まり、それだけ時間が無駄に消費されていく。 今の祐羽には1分1秒も貴重なのに、行き止まりが続く。 行っては戻り、走って走った。 泣くなと自分に言い聞かせても勝手に涙がウルッ溢れてくる。 普段から涙もろい自分に、今のこの状況で泣かずに居るというのは無理だった。 もう高校生だろ?!男なら泣くな自分!! そう思って自分に言い聞かせても、涙に視界が歪んでしまう。 まるで全身が心臓にでもなったかの様で、ドキドキと破裂しそうに心音が鼓膜に鳴り響く。 上がる息を整えたくても混乱した頭と心では、それさえも上手くいかない。 元々気弱な自分だ。こんな危機不安で押し潰されそうだった。 グイッと手の甲で涙を拭うと、祐羽は自分の勘を頼りに移動する。 慣れない土地、見知らぬ場所。 どこをどう行けばいいのか分からない。 けれど、とにかく一刻も早くこの場所から見つからないように逃げなくてはならない。 途中で道路を外れて木々の間を横切り近道をする。 車では通れず、加藤達が大廻りをしているのを横目で確認しながら祐羽はひたすらに逃げる。 「助けて…っ!」 けれど、祐羽は自分がとても方向音痴だということを忘れていた。 似たような景色が続く為、逃げているつもりがグルリと回って半分近く元の場所に近い所へ戻って来ていたことに、祐羽は気がついていなかった。

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