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一緒

ホテルに着いた祐羽は九条に抱かれたままラウンジを抜けた。 その頃には歩けると言ったのだが、有無を言わせず運ばれてしまい心底恥ずかしかったものの、大切にしてくれている証なのだと思えば抵抗も出来なかった。 注目を浴びたものの周囲を組員に囲まれていたお陰で自身が隠れてはいたので、大人しくしておいたのもある。 そのまま宿泊していた部屋へと戻ると、安心に胸を撫で下ろした。 本当に帰ってきたんだ…。 あからさまにホッとする自分に九条が「もう大丈夫だ」と安心するように声を掛けてくれる。 それに祐羽はコクンと頷いて応えた。 「これでも飲め」 ソファに下ろされた祐羽は渡されたペットボトルからお茶を飲もうとするが、疲れからか指に力が入らない。 隣に座った九条が黙って開けてくれて礼を言って受け取り飲むと、喉がどれほど渇いていたのかが分かる。 車内で途中、店に寄ることも出来たが、それよりも早くこの部屋に帰りたかったのだ。 いつも一緒に過ごす九条の家ではないけれど、ここで一番安心出来る場所に。 両手でボトルを掴み一気に喉を潤すと、安堵の息を吐いた。 それからピタリと九条に寄り添う。 本当に疲れた…。 すると肩を抱き寄せられ、嬉しさに頬が緩んだ。 今までこうして過ごすことが当たり前だと思っていた。 けれど今回の事で、それは当たり前ではないことに気づく。 一緒にいられる有り難さは一瞬一瞬が幸せな事なのだと。

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