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けれど皆集まって何が始まるのだろうか?
祐羽が内心首を傾げ九条に訊いてみようとした時だった。
本人の真剣な思いとは裏腹に体は正直に空腹を訴えてグーッと静かな室内に見事に響いた。
「ううっ!!」
恥ずかしさにお腹を押さえた祐羽は、顔を真っ赤にして九条とソファの隙間に瞬時に頭を突っ込んだ。
お腹鳴っちゃった~恥ずかしいよぉっ!
止めようにも止まらないお腹。
グーグーと止めようと力を込めれば余計に鳴ってしまう。
今朝は少し目覚めるのが遅く、まだ朝食も摂っていないのだから仕方がないのだが、それでも皆がいる前でとなると恥ずかしさは半端ない。
ひぃんと半べそで出てこない祐羽の背中をポンポンする九条とは裏腹に、紫藤が盛大に吹き出した。
「アハハハハハッ!!いや、もう最高!面白すぎるわ!」
そんな紫藤を外崎が諌める声が聞こえてくる。
そんなに笑わなくても。
祐羽が益々いじけると、さすがに紫藤も反省した様で「すまん、すまん!よしっ、飯にしよう!!」と軽い口調で言い放った。
その指示を待っていたかの様に、少しの間を置いて部屋に料理が運び込まれて来た。
「おいっ、飯来たぞ」
紫藤に声を掛けられた祐羽は鼻をクンクンさせて、それからソロッと九条の後ろから顔を出した。
見ると、目の前のテーブルに綺麗な皿に載った沢山の料理が所狭しと並んでいた。
「さて。旨そうな料理が揃ったから、皆で食うぞ!」
これって、ルームサービス?
皆で食べる為に集まったってこと?
「ほら、食うぞ」
九条に声を掛けられ見上げれば、優しい顔でほんの少し目が笑っていた。
どうやら九条も面白がっていたのだと分かると、祐羽は改めてプンッとして見せたが、頭を軽く撫でられた為、機嫌が一瞬で直るのであった。
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