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九条が紫藤の後に続いて寝室を覗いて見れば、愛しい仔犬は呑気に眠りについていた。 「よう、寝とるのぉ。こっちは大変だったってのに…」 紫藤が呆れた声を漏らすが、声は何処か笑っている。 ひとつのベッドにスヨスヨと眠れる森の美女さながらの外崎。 もう一方には中瀬が姿勢よく天井を向いて静かに寝息をたてている。 その隣に向かい合って寝ていたのは祐羽だ。 しかし祐羽は相変わらずの寝相の様で、移動の痕跡がしっかりとある。 途中で中瀬の眠りを妨げたのは確実だろう。 あとは、ベッドから落ちなかったか、それだけは気になるところだ。 「さて、連れて帰るか…」 九条がそんなことを思っていれば、紫藤が溜め息を溢しながら外崎の元へと向かった。 それから、細身で小柄な方とはいえ男である外崎を軽々と抱き上げる。 「じゃぁ、また明日な」 そう言うと、眠ったままの外崎をそのままに部屋を出て行った。 一方の眞山はというと、部下の中瀬を揺り動かし起こしている。 「中瀬、起きろ。中瀬っ」 「ん…、え?」 そこで眠りから覚めたらしい中瀬が大きく目を開いた。 「すみません!」と叫びかけたのを眞山が寸でのところで、手の平で防ぐ。 「静かにしろ。目は覚めたか?帰るぞ」 その言葉に口元を押さえられたまま中瀬が勢い良く数回頷いた。 漸く手が離されて、中瀬は顔を赤くしたまま大きく息を吐く。 しかし我に返ると直ぐに立ち上がり、九条へと向き直り頭を下げた。 「会長っ、申し訳ありませんでした」 「気にするな。疲れが少しはとれたか?」 「は、はいっ!おかげさまで、ありがとうございました」 中瀬が頭を下げ終わると、眞山が「それでは、失礼致します」そう言って頭を下げ、部屋を出て行った。

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