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言っていて悲しくなるほどに何も出来ないのは事実だ。
その度に九条に手を差し伸べて貰っていた情けない自分。
けれどそれが自分で、九条を補佐できる眞山ほどの実力が今直ぐ身に付くはずもなく。
どうしたらいいんだろう。
九条さんに役立たずって思われなくて、別れなくていい方法って…。
涙に濡れた目をパチパチと瞬かせながら、情けなさに口を歪ませた。
・・・・・
祐羽が自室へと駆け込んでから、九条はひとつ息を吐くとソファへ腰を下ろした。
俯いて目を閉じ、先程の祐羽の顔を思い出す。
あんな顔は初めて見たかもしれない。
最初の頃、無理矢理関係を迫った時や条件を付けて自分に縛り付けた時とも違う。
心がお互い通い合い、馴染んで来て以来初めて見た悲痛に歪んだ表情に、罪悪感の様な物が沸き上がる。
罪悪感?
そんな物は、とうの昔に捨て去った感情だったはずなのに、心が不快にザワザワとうるさい。
部屋のドアをきちんと閉めなかったらしい為、廊下の向こうから祐羽の悲しい泣き声が聴こえてくる。
嗚咽が混じり、可哀相な程に泣いていたが、それも次第に小さくなっていった。
額に手を当ててなんとか無心を装うが、意識が勝手に祐羽へと向かってしまう。
こんなにも好きになっていた恋人だからこそ、今回の様な危険に巻き込みたくはないし、これ以上こんな日陰の生活へ置いておくことは出来ない。
こんなに可愛いくて愛しいと思えたのは人生で初めてだった。
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