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・・・・・ どうすれば九条と一緒にいられるのか? その為にはどうしたらいいのか? ベッドに寝転び、ひたすら脳を働かせ考えていた祐羽は「どうしよう。何にも思いつかない…」と悲しい心の内を溢した。 こんな時、自分が賢かったらどんなに良かっただろうと思う。 時間だけが刻々と過ぎる中で、何一ついいアイディアは浮かばなかった。 九条さんと一緒にいたいだけなのに…。 「九条さんと一緒に…あ。そういえば僕、なんにも言わずに逃げちゃったなぁ」 そうだよ。 何も言わなかった僕もいけないんだ。 一緒に居たいって、お願いして、九条さんにくっついて離れないでいたらいいんじゃ…? 九条さんにずーっとくっついてたら『仕方ないな』って言ってくれるかも! 祐羽は頭の中で九条のお腹にしがみついた姿をイメージした。 そして呆れた様子で頭を『よしよし』してくれた九条が、笑顔で抱っこしてくれるのだ。 あれだけ泣いて悩んだのに、まったく解決策は思い付かず。 結果、考えることを放棄した祐羽は単純な作戦を思いついた。 「絶対に別れないって言おう。それでもダメって言われても帰らない!って居座っちゃえばいいんだ」 とても簡単でいいアイディアなのでは?と、祐羽は泣いていた顔に明るさを取り戻していく。 そして、それにしても…と思う。 九条さん、本当に酷い。 相談も何もなくって、いきなり別れるだなんて。

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