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「祐羽、じゃないですよ!僕は怒ってるんですから、謝ってください!」 怒っていたら、またまた涙が溢れてきて、祐羽は大きな声で泣き出した。 言いたいことを全部言おうと思っていたのに、九条の名前を呼ばれただけで、色んな感情でぐちゃぐちゃになる。 怒ってみても、やっぱり心底嫌いで怒っている訳でなく、自分の思いを分かってくれてない事に腹が立つだけなのだ。 決して、これっぽっちも嫌いではない。 ううっ、九条さんが好きぃ…。 本人を目の前にして、改めて思う。 そんな相手と離れ離れになるなんて、想像もつかないし、絶対に嫌だった。 今はこの自分の気持ちを伝えるしかない。 だけど涙は止まらなくて、バカみたいにわんわん泣いてしまう。 ここまで声をあげて泣いたのは、いつぶりだろうか。 すると、そんな自分に九条が間を詰める為に近づいて来た。 それに気がつき目を向けると同時に、祐羽は大きな体に抱き込まれ、大好きな九条の胸に頬を寄せていた。 突然のことに驚くが、けれどもの凄く嬉しくて、祐羽はグスングスンと泣きながら大好きな九条に思わず抱きつき、その胸に顔を埋めた。 息を吸えば嗅ぎなれたいつもの臭いに安心感が湧き起こる。 さっきまで怒っていたし、悲しかったし、情緒が不安定だったのに、まるで鎮静剤の様だ。 九条の胸に抱かれていると、幸せな感情が溢れて心地よい。 やっぱり九条のことが好きで好きで仕方なかった。 「祐羽…」 うっかりそのままの状態でまったりしそうになっていた祐羽だったが、名前を呼ばれて我に返り目をパチッと開いた。

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