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「す、すみません…」 「まっ、久し振りだから仕方ねぇな。それよりお前は元気にしとったか?」 「あ、はいっ!元気です!!」 祐羽が元気にそう答えると、紫藤が「そうか。元気なのは分かったわ」とニッと笑い祐羽の頭をグリグリ撫でた。 それから突然プッと吹き出した。 自分が笑われたと思った祐羽が戸惑いの表情を見せ「あの?」と声を掛けると、紫藤が手の平をこちらに向け『待った』をかける。 笑いは直ぐに収まった様だが、ニヤニヤは止まらない。 「悪ぃのお。思い出し笑いじゃけぇ」 「思い出し笑い?」 そんなことを言われると気になるではないか。 すると紫藤はもったいぶらずに教えてくれる。 「律のやつ、お前らが帰ってからずーっと落ち込んだままでの」 「えっ?」 「俺の秘書っていう立場なのに、全く使えんのんよ。ボーッとしとったり、物を落っことしたり、メソメソしたり。情緒不安定すぎじゃろ?」 外崎さんが、メソメソ? 「理由は簡単。お前らに会いたいだけじゃ。いっつもメソメソし出すんは、お前らと顔を合わせて連絡しあった後じゃけぇな、分かりやすいんよ」 外崎さんは大人で冷静なのに、やっぱり僕と同じで寂しかったなんて…一緒なんだ。 パソコンで顔を合わせて話をした時も、会いたいと言ってくれてはいた。 てっきり平気だと思っていた外崎が意外にも本当に落ち込んでいたなんて、驚いてしまう。

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