ピッとカードキーを読み取らせれば無事に二つ目の自動ドアが開き、祐羽は中へ一歩入ると思わず声を上げた。 「おおおぉぉぉ～！」 「すっげぇ～」 「わぁ…」 中瀬と外崎も感嘆の声を漏らし、目を丸める。 「あっ、川だ！」 「川じゃねぇけどな」 そこには黒の大理石の床が広がり、人の歩きを邪魔しない位置に人工の水の流れがあって、驚きから祐羽の声が建物内に響くと中瀬が冷静に返した。 それから視線を巡らせる。 壁には見事な彫刻が施され、無駄に高い天井には繊細な造りのシャンデリア。 はめ殺しの大きな窓の外には目を癒す緑の木々が立ち並ぶ。 それを眺めながら話をしたくなる様なソファとテーブルが、セットでセンスよく並べられていた。 「それにしても凄すぎる…」 思わず言った中瀬に、祐羽と外崎がブンブンと無言かつ全力で首を縦に振った。 すると次の瞬間、ブフッと吹き出す人間が。 何だ何だと三人が不審に思いそちらをみれば、制服に身を包んだ男が居て自分達から視線を外し、笑いを堪えている。 どうやらホテルの関係者らしいが、一体何者？と祐羽は首を傾げた。 その若い男は「申し訳ありません」と謝る。 どうやら非セレブ三人の言動に笑いを誘われたらしいのは間違いないようだ。 「あっ、いえ。こちらこそ騒いでしまってすみませんでした」と外崎が謝ると男は顔を上げた。 すると次の瞬間、ハッとした顔で外崎に目を奪われている。 「大変申し訳ございません。教育が行き届いておりませんこと、お詫び申し上げます」 すると別のベテランらしい、もうひとりの男がプロの顔で祐羽達を中へと促してくれた。 どうやらホテルのドアマン兼警備員みたいな存在らしい。 三人は大理石の空間を進み奥へと向かった。 ※イラストを描いてくださっている千羽様が ちびキャラ祐羽の表情を動かして下さいました。 表情が変わる可愛い祐羽が見られるので、Twitterを覗いてみてください(^-^)/ （よければ千羽様へ『いいね』をお願いします→垢はプロフ参照）