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そんな中瀬を心から尊敬し(僕も中瀬さんみたいになる!)と心に誓う祐羽。 きっと彼を知る全員が「無理」と言いそうな目標ではあるが…。 「それにしても、コンシェルジュの人はどんな事をしてくれたりするのかな?」 なんて思わず声に出した祐羽に、コンシェルジュが気がつき「おはようございます。よろしければ、こちらをどうぞ」と各種サービス内容や館内案内図の書かれた紙を渡してくれる。 「ありがとうございます!」 「いえ。いつでもお声掛けください」 コンシェルジュの綺麗な女性に笑顔で微笑まれ、祐羽は照れ笑いしてしまった。 女性に免疫が殆ど無いから仕方ない。 「じゃぁ、座ってちょっと見てみようぜ」 中瀬の提案で、さっそく近くのソファに座り三人で確認する。 サービス内容は多岐に渡り、室内のクリーニング、洗濯やクリーニング、ゴミ出し、郵便物や宅配物等の発送と受け取りとお届け、ペットシッター。 タクシー配車、レストラン予約、ホテル予約シェフのデリバリー予約、各種予約、観光やイベント案内。 万が一のトラブルや相談に対応する専属弁護士など、その他多岐に渡る。 「凄い」 「ですね…」 「意味が分からん」 外崎、祐羽、中瀬は、もうどんな顔をしていいのか分からなかった。 「よ、よし!施設チェックしようぜ!」 中瀬の言葉に、ふたりも渇いた笑みを張り付けて貰ったパンフレットを開いた。 「…なんか、色んな施設があるね」 外崎がほわぁ~と変な声と共に言った。 一般のマンションには無いであろう施設が、たくさんあるのだ。 温水プール、トレーニングジム、テニスコート、温泉、サウナ、多目的室内グラウンド、多目的ホール、来客用宿泊施設、各階層専用ラウンジ、展望ラウンジ、医務室、ヘリポート等。 「俺には一生縁がなさそう」と中瀬が自嘲気味に漏らし祐羽と外崎も同意したが「いや。ふたりは住んでるも同然だし」と言われてしまった。

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