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それから今度は隣の家の高い塀に驚いて見上げたり。 「なんだか外国にある家みたい…ハリウッドとかこんな感じかなぁ?」 ポカーンと口を開けて家を眺めていたら、偶然出てきた住民にジロッと見られて祐羽はその場を慌てて離れた。 少し不躾に見すぎた事を反省して、今度は止まる事なく歩きながら見物。 「あれ?今、どっちから来たっけ?こっちだったっけ?たぶんあってるな」 塀の向こうを想像しながら歩いていれば、方向感覚がおかしくなってきた。 方向音痴という事に自覚の足りない祐羽は、自分の勘が正しいと思い込んでズンズン歩き続けた。 「ちょっと疲れたかも…。休憩しよ」 曲がり角の縁石にちょこんと座った祐羽は首を傾げた。 「あれ?おかしい…あの時は車で駅からだから、あの道をバーッと行けばあってるはず」 勘を頼りに再び歩き出した祐羽は、益々どツボに入り込んでいった。 「あれ…もしかして行きすぎた?」 あれから随分歩いたけれど、覚えている街並みは出てこない。 朝日も上ってきて、休日とはいえ静かな高級住宅地もそれなりに人々が動き出し生活感が出てきた。 九条が起きて来ては大変だ!と時間を心配した祐羽はハッとした。 「あっ、そうだ!調べてみよ」 自分のうっかりに「えへへ」と誤魔化し笑いをして掛けていた小さなバッグを開いた。 「…あれ?」 ガサゴソするけれど携帯が見当たらない。 こんな小さなバッグなら中をものの数秒あれば確認出来てしまう。 外のポケットにも、もちろん無い。 中には財布、ハンカチ、ティッシュ、それと九条から貰った小さな柴犬のぬいぐるみマスコットがバッグにぶら下がっているだけだった。

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