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その言葉にクラスのカーストナンバーワン女子の鈴木が「私、ホールやりたーい!!可愛い店員さん必要でしょ?」と手を上げた。
「やっぱり定番のメイドでしょ」「じゃあ私はチャイナにしちゃおうかな。美脚サービス」と大爆笑。
まだ訊かれてもいないのに取り巻きメンバーが次々と立候補していく。
(うっ、絶対に給仕係は嫌だ)
祐羽はプルプル震えながら、心の底から思った。
そこへ賀川がやって来た。
「おいっ、月ヶ瀬。お前、何にする?」
「えっ、ちょっと、賀川くん?!」
コソコソと移動して無理矢理祐羽の椅子に腰掛けてくる。
押されて落ちそうになる祐羽を賀川が片膝に乗せた。
降りようにも降ろしてくれず。
「怒られちゃうよ」と注意したが「バレてねぇよ」と話を遮った。
確かに意識はアチラに向いているが、周囲からは視線を感じる。
けれど、賀川相手に誰も注意する事もないので祐羽も(まぁいいか)と納め、膝におとなしく座っておくことにした。
「で、どこにするワケ?」
訊かれて少し考えたが正直どこでもいい。
ひとつ条件があるとすれば、出来るだけ目立たなくて難しくない裏方でお願いしたい。
「僕、裏方がいい」
「だと思った!」
笑われて「もうっ、そんなに笑わなくても」と怒ると頭を撫でて誤魔化された。
「それで、賀川くんはどうするの?」
「あ~俺も裏方かな。一緒に同じのやろうぜ」
「ふざけんな。俺も交ぜろ」とやって来たのは小野だ。
いつの間にか祐羽の後ろの席の男子と入れ代わっている。
「じゃぁ三人で一緒にやろうよ」
祐羽が誘うと、ふたりは「そうしようぜ」と笑顔で頷いた。
そんなやり取りをしている間に給仕係が決定したらしい。
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