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(何で僕がメイドやアッシュルしなくちゃいけないの?)
脳内でアッシュルを思い出し、あの露出は絶対に無理だと頭を振った。
アッシュルといえばマッドネスを倒そうとする主人公のお供だ。
(アッシュルとマッドネスって、ふたりだけの絡みは無いんだよね。ってマッドネスといえば九条さん!)
祐羽はポワワンと脳内に九条を思い浮かべた。
(衣装着るだけでマッドネスだもんね。でも、もしも九条さんがコスプレしたら、きっと大騒ぎになるなぁ)
などと、ありもしない妄想を楽しんだ。
・・・・・
迎えに来て貰った帰りの迎えの車の中で、学園祭の事を話すと、中瀬が懐かしいなと笑った。
それからコスプレ喫茶をすること、そして九条のコスプレへと話が移っていた。
「なるほど。まぁ、会長は何着ても似合うからな。マッドネスじゃなくてもキャーキャー言われるよ」
「確かにそうかもです」
中瀬の言葉に祐羽はハッとした。
「でも会長、この二月《ふたつき》は年末に向けて特に忙しいから、土曜も確か仕事入ってたし。例え日曜の休みでも学祭なんて行かないと思うぞ」
「ですよね…」
中瀬に言われて祐羽はしょんぼりした。
分かってはいるが、ひょっとしたら来てくれるかもと思ったのだが、やはり無理な割合が高そうだ。
一緒に店を巡ったり、出し物を楽しんだり、普段有り得ない学校という場所での思い出作りはとても楽しいに違いないと少しワクワクしていたのだが…。
「まぁまぁ。一応会長に訊いてみろよ!それに万が一ダメだったら俺が行ってやるって!」
「中瀬さん」
「そうだ!外崎さんも誘ってふたりでお前が入れたジュース飲みに行ってやるよ」
「ありがとうございます~!」
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