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本当に悪いと思っている気持ちのこもった声音に益々泣かされてしまう。 怖いの代名詞であるヤクザだというのに、自分にはこんなにも優しい九条の顔を見れば、来てくれないことに怒りはしない。 逆にこんな我が儘みたいに泣いて困らせる自分が嫌になる。 九条にギュッと抱きつきなんとか涙を抑え込もうと奮闘し始めた祐羽だったが、一度泣くと止まらなくなってしまう。 どうやら涙部門の社員も本人に似てポンコツらしい。 「おい。目が溶けるぞ」 涙を拭われて頬を両手で挟み、それから見つめられる。 視界いっぱいの九条の顔は、見慣れた今でも見惚れてしまう。 (ううっ、カッコよすぎる。目も綺麗だし、あんまり見られたら恥ずかしいよ。あと、眉毛も…) などと改めて恋人の整いすぎている顔を観察していれば、単純なせいか涙も落ち着いてきた。 盛大に泣いたせいで見事、涙と鼻水でグチャグチャになった自分を鼻で軽く笑う九条に、祐羽が(笑った。酷い)と軽くプンッとすれば、九条が「怒るな。そういう意味で笑ってない」と言う。 どうやら心の声までバレてしまっているようだ。 加えて恋人の扱い方も心得ているらしく、額にキスを落として、それから大きな胸に抱き込んできた。 これには何も言えなくなるし、九条の温かさに思わずスリスリしてしまう。 「文化祭、どうだったか報告しろ」 「はい」 精一杯、自分に向き合ってくれる九条の気持ちは伝わったので、今はもう残念な気持ちはあっても不満はない。 (第一に九条さんはお仕事で仕方ないのに僕は…。ダメだダメだ!いつまでも子どもみたいに) 自分の子どもっぽさを反省した祐羽は、もっと九条と釣り合う様に努力しようと心に誓う。

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