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「饅頭でも食うか?」 「え?」 シュンとしている祐羽の頭を撫でながら九条が提案する。 「実家から送ってきたヤツがある」 「いいんですか?!」 直ぐに目を輝かせた祐羽は九条が頷いたのを確認すると「わーい、お饅頭お饅頭」と立ち上がった。 「奥に置いてある」 「はい!」 饅頭の箱を取りに向かう祐羽に九条が薄く笑った。 箱を手にした祐羽は直ぐに戻ってくると隣に座り包装を外して、饅頭を取り出した。 「いろんな味がありますよ。九条さんはどれがいいですか?」 「俺はいい」 「えっ、いいんでかすか?」 一緒に食べて感想を言い合うのも楽しみのひとつだが、甘いものを普段口にしない九条だから仕方ないだろう。 箱の中から定番のこしあんを選びフィルムを外すとパクリと噛った。 モグモグしてから「生地もホワホワで、あんこの甘さもいい感じで、おいしいです」と食リポする。 「そうか。もう一つ食うか?」 「いいんですか?では」 元から二個目を狙っていた祐羽は、形だけ遠慮して直ぐに饅頭を手にする。 二個目はチョコ味で、ペロリと完食すれば胃の小さな祐羽は満足だ。 「美味しかったです。九条さん、ありがとうございました」 箱を閉めながら礼を伝えると九条に頭を撫でられる。 「残りも全部食っていいぞ」 「じゃぁ、おやつの時間に少しずつ頂きますね。えへへ~」 ニコッと笑顔全開で九条の顔を見ると、鼻で笑われてしまう。 祐羽が「何ですか?」と眉を寄せると頬を両手で包まれた。 「口開けろ」 「?」 内心首を傾げつつ素直に開けると、すかさず九条から濃厚なキスが施された。

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