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フレンチトーストは出来立てが美味しいのは当たり前なのだが、それにプラスしてさっきまで怒っていた自分を思い出すとキスしてイチャイチャしたいなんて都合が良すぎる。
(ダメだよね。こんな僕じゃ嫌われちゃう。もっと優しい心を持たなくちゃ)
自分のご都合主義に反省した祐羽は、小さく唸りながら諦めて九条の胸元から体を離した。
そんな単純な自分を九条が好んでくれているとは思いもしない祐羽。
(やっぱり九条さんのフレンチトーストは美味しいなぁ)
九条が作ってくれたフレンチトーストを食べて、案の定怒っていたことをあっさりと忘れるのだった。
◇◇◇◇◇
「は?クーポンの余分?」
週明け。登校した祐羽はクラスを纏めているボスこと、カースト上位の鈴木に声を掛けていた。
かなり勇気を出したのだが、鋭い視線と物凄く低い声で返されてビクリと縮こまった。
祐羽の身長が低いのもあり殆ど背の変わらない相手に睨まれれば蛇と蛙。
「えっと…、その、どうしても、呼びたい人が居て…」
段々と声が小さくなっていく。
九条が来られなくなったのは残念だが、代わりに中瀬と外崎を誘うことにしたのだ。
元から呼ぼうとは思っていたが、クーポンは一枚しかなく、それなら恋人という理由で九条にだけ渡せば問題ないと思っていた。
しかし今回九条は来ない為、仲良しなふたりを誘ってもひとりだけに割り引きクーポンを渡すとなると申し訳ない。
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