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「大したことじゃないんだよ」 「大したことじゃなくても、溜め息つく位は悩んでるんだろう?相談はタダだぞ」 遠慮する祐羽の頭を賀川が撫でながら促すと「そうそう」と言って小野も撫でてくる。 そして何故か二人が争う勢いでワシャワシャ始めたので「わぁっ、ちょっと止めてよ!」と祐羽がその場に座り込んで漸く終わった。 グシャグシャになった髪を手櫛で祐羽が整えていれば「じゃぁ、話せ」と促される。 小野の言葉に思わず鈴木の事を言おうとしたが、どうしても言えなかった。 告げ口みたいで嫌だし、ふたりと鈴木が喧嘩になったらせっかくの文化祭が険悪な楽しくない物になってしまう。 それは絶対に避けたくて、祐羽は「呼びたい人が二人居て…。クーポン一枚しかないからどうしようかなって」と本当だけれど、鈴木の意地悪の部分は誤魔化した。 「クーポン?俺のやろうか?」 「えっ、いいよ!悪いもん」 「誰かにやる予定ないし」 賀川の言葉に「俺のもやる」と小野も申し出てくれたが、さすがに心苦しい。 「だって二人も誰かにあげるでしょ?」 「「いや」」と同時に首を横に振る。 こういう所でも親友というだけに相性いいようだ。 「あげる相手は親くらいだし」 「なくても母親喜んで来るし」 「そうそう。第一、クーポンの存在まだ知らないから問題ない」 「ってことで、決まりな」と小野は言うが「でも…」と素直に頷けない。 「じゃあさ、取り引きしないか?」

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