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「取り引き?」 小野の言葉に祐羽は眉を困惑に傾けると、賀川も何を言うんだ、と小野の顔を見る。 「俺たちがクーポンを譲る代わりに、今度一緒に遊びに行ってくれよ」 「遊びに?それでいいの?」 そんなのは取り引きにならないのではないかと思うが、相手はそうではないらしい。 「月ヶ瀬と遊ぼうと思っても普段は部活だろ?それに週末もいっつも予定が入ってて、遊べないし」 確かに平日は部活があり、週末は九条の家に泊まり恋人時間を満喫している為、仲のいい二人と遊びに行くことは無かった。 (せっかく仲良くなったのに、学校以外で遊ぶ事が無かったな。九条さんと会いたいばっかりで、そんなこと考えた事がなかった) 九条は大好きで時間があればずっと側に居たいが、学校でいつも側に居てくれ仲良くしてくれる友人の存在も恋人とは別の意味で大好きで大切だ。 こうして自分を相手にしてくれる優しい友人の提案を無視する気持ちは起きなかった。 (九条さんが土曜日にお仕事の時を訊いて、その日なら遊びに行ってもいいかな) 出来るだけ九条と一緒に居たいが仕事が入る事も多々あり、泊まりが無く家で寂しく時間を過ごすくらいなら友人と出掛けた方が気分も晴れる。 「うん、いいよ。ふたりがそれで良いなら。僕は助かるし、一緒に遊べるのも嬉しいから」 祐羽が頷くと、賀川と小野が「よし決まり」「楽しみ増えた」と笑顔でまたもや髪をワシャワシャされてしまった。

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