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交際を反対されたら自分はどうするだろうか?と疑問符を浮かべて想像するが、やはり九条と別れるシーンは思い浮かべることも出来ない。
(今は言えないけど、いつか。僕が高校卒業したら、大人になったら…)
その時は九条がヤクザである事は伏せたとしても、付き合っていて好き同士ということだけは許して欲しいと強く思った。
「おーい、月ヶ瀬?」
呼び掛けられハッと瞬きして視線を戻した。
「あっ、ごめん。ボーッとしちゃった」
すっかり思考の渦に巻き込まれてしまい、ふたりの質問を忘れていた。
「えーっと…お、叔父さん」
「おじさん?」
「親戚の」
そう答えながら内心で(本当は恋人なんだけどな)と、友人に言えない寂しさに少し落ち込む。
堂々と言えない関係ではあるが、気持ちは普通の恋人の変わりない。
むしろ九条は最高に素敵な恋人であると思っているだけに、少しは自慢したいのだが、それは叶わぬ夢だ。
「ねぇねぇ賀川くん、小野くん」
でも大人になって、いつかは友人にも九条を紹介したいと思っていると、そこへ鈴木の声がして祐羽はドキッと顔を上げた。
近づいてきた鈴木と森田は笑顔だが、ふたりの後に居た佐藤は、一瞬だけ祐羽を睨む事を忘れなかった。
怯んだ祐羽はついつい小野の陰に隠れる。
プライベートでは九条という安心出来る場所があるが、学校では友人が頼みの綱だ。
戦おうと決心しても、やはりトラウマを克服するには、もう少し時間が掛かりそうだ。
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