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祐羽は一旦隠れたものの、半歩だけ横にズレて一応怖がってない事をアピールしてみた。
けれど冷たい視線を感じて、ちょっと俯いてしまった。
そんな祐羽など興味無いとばかりに三人はズイッと小野と賀川に近寄ると「ねぇ~今さっき見たんだけど」と切り出した。
「ふたりとも月ヶ瀬に渡して無かった?クーポン。ひとり二枚までだよ?」
鈴木が可愛い声で小野に確認してくると、森田が「月ヶ瀬だけ余分に持ってるのはダメなんじゃない?」と後押ししてくる。
それを受けて益々小さくなったのは祐羽だった。
ひとり二枚までなのに融通してくれなかったのは鈴木だが結果、小野と賀川から受け取りチケットは三枚になり、これは確かに自分だけ余分に持っている事になる。
(僕だけズルになってるんじゃ…)
急に不安になってきた祐羽は思わずクーポンを返すと言おうとしたが、それより先に小野が小さく笑いながら鈴木の肩に手を掛けた。
「俺、親は仕事だし特に呼ぶダチ居ないし。
」
チラッと鈴木の顔を覗き込むと「あと彼女居ないから寂しいんだよな」と言って情けない顔でわざとらしく溜め息をつく。
「それなら欲しいヤツに譲るのが一番じゃね?」
そう言う小野に頬を染めながら「う、でも…」と迷い顔を見せる鈴木は、返答に困り森田と佐藤を見る。
それに対して小野の態度にキャーキャー小さく騒いでいた森田と佐藤が「どうする?」と迷いつつも「もういいじゃん!小野くんと賀川くんが良いって言ってるんだし!」と返した。
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