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「ごめんね。でも僕は一緒に行けるならどこでもいいのは本当。強いていうなら、近場よりは遠くに行ってみたいかな。旅行って感じがするから」 外崎が申し訳なさそうに謝ると、祐羽がうんうんと同意を示す為に頷いた。 「僕もです!行けるならどこでもいいんですけど、確かに普段なかなか行けない所だとワクワクしますよね。あっ、そうだった!」 そこで祐羽はハッと本来の目的を思い出すと、通学用の鞄を漁り財布からチケットを取り出した。 「あのっ、これを外崎さんに」 「えっ、僕に?」 「今度、僕の学校で文化祭があるんです。もしよかったら外崎さんに来て貰えたら嬉しいなぁって…。これは僕のクラスで使えるクーポンです」 喜んでくれるはずという確信を持って渡した祐羽の予想通りに外崎はとても嬉しそうに笑顔を浮かべて「僕に?いいの?!」とクーポンの表面に書かれている文字に目を通している。 「はい。ぜひ中瀬さんと来て貰えたら嬉しいです!僕、クラスでジュース入れる係りになったので、ふたりには僕が接客しますので来たら声掛けてください」 「そうなの?祐羽くんが入れてくれるジュース、今から楽しみだな」 「俺もお前が恥ずかしくない様に、今から服装考えとくよ」 「僕も中瀬くんとのバランス考えて選ばなきゃ」 「ええっ、そんな大袈裟にしなくても大丈夫ですよ?」 そう言うものの、今からふたりと文化祭で会える事が嬉しくて仕方ない祐羽は、ちょっぴり想像して楽しい文化祭になるはずだと、満面に笑みを浮かべたのだった。

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