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「で、訊くんだけど、月ヶ瀬くんの推しはどの子?」
そして、殆ど変わらない背丈の鈴木にズイッと迫られた祐羽は、驚きつつもすかさず「僕?僕はね、茶色いコ」と答えると「私は黒柴」と嬉しそうに返ってきた。
目をキラキラさせる鈴木に祐羽が「僕たち『柴ワンコ』仲間だね!」と同じく目をキラキラさせて喜ぶ。
「そうだね、月ヶ瀬くん!これからも全力で推していこうね!」
大人しいタイプだが今回は興奮しているようで、先程よりも顔が紅潮している。
それは祐羽も同じだった。
(鈴木さんと仲良しになっちゃった!)
まさか柴ワンコを通して仲良し女子が出来るとは。
祐羽は今回の文化祭でジュース係になって良かったと心底思った。
高校生活で女子と関わる事はほぼ無いと思っていただけに、かなり嬉しい。
「ここに柴ワンコ同盟設立だーっ!」と鈴木が目をギラリとさせる。
どうやら鈴木、実は面白いキャラクターの様だ。
そんな鈴木の掛け声に、ふたりで「「えいえいっ、おーっ!!」」と拳を上げて小さく喜んだ瞬間、突然暗幕の向こう―教室内が大きくざわめき立った。
何だろうかと思っていれば暗幕が開き、コスプレ姿のクラスメイト達が慌てた様子で祐羽を呼んだ。
「月ヶ瀬!お前の指名で綺麗な人が来た!!あともう一人イケメンも!」
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