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ホールと裏を仕切る暗幕の間に顔を出したのは、新任の浅尾だった。
「あれ、もしかしてイチャイチャの最中だった?邪魔したならゴメンね」
「違いますよ!付き合ってもないです!!もうホール戻りますから」
鈴木は冗談じゃないと祐羽を一睨みすると、慌てた様子でホールへと戻って行った。
それを見送ると「大丈夫だった?」と浅尾から心配そうに声を掛けられる。
「穏やかじゃない声が聞こえたから」
「はい。ありがとうございました」
祐羽はペコリとお辞儀をして感謝を伝えると、頭をポリポリした。
「ちょっと鈴木さんとは相性が良くなくて、時々…。でも大丈夫なので」
「そう。でも、また何か困ることがあれば相談して。いつでも話を聞くから、本当に些細な事でも遠慮なく、ね」
浅尾の優しくも真剣な声音に、祐羽は信用出来る先生だと確信を持つ。
「はい。本当に困った時は相談させてください」
「了解。さぁ、文化祭はまだ時間たっぷりあるよ。楽しもう」
「はい!あっ、ジュース、早く持って行かなくちゃ」
祐羽は中瀬と外崎を待たせていることを思い出し、もう一度浅尾に礼をして急いで暗幕に引っ込んだ。
「ふーん。なるほどね」
そんな祐羽が消えた暗幕を浅尾は顎に手を添え暫く見つめていた。
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