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「一時間交代です。なので、十一時になったら一緒に回れます」
教室の時計の針は二十分を指している。
「ってことは、これ食べて隣の部屋で展示でも見て待ってようかな」
「うん、そうだね」
中瀬の言葉に外崎が同意する。
「じゃぁ、そういうことで。お前が終わったら連絡入れてくれよ。部屋の外で待つからさ」
「はい、分かりました。じゃぁ後で連絡しますね」
「頑張れよ」
「頑張ってね」
この後の予定が決まり頷いた祐羽は、ふたりに軽く手を振り踵を返し裏へと戻って行ったが、暗幕の前でピタリと止まる。
(そうだった。僕の入れたジュース)
そして振り返って見ると、中瀬と外崎がジュースを飲んで笑いあっている様子を見て(良かった!)とルンルンで暗幕を潜る。
「どうでした?」
「ふふふ。祐羽くん僕達の方を見てニコニコ嬉しそうだったよ」
「そうですか」
「来て良かったね」
そんな祐羽を見て、自然とふたりも笑顔が溢れるのだった。
一方その頃――。
「だぁ~っ!やっとれんわクソがっ!!」
事務所で書類の束をバンッと机に叩きつけた紫藤はそう叫ぶと、部屋にある応接用のソファに大きな体を勢いよく投げ出した。
大きく立派なソファも、そんな紫藤のせいで悲鳴を上げる。
その反対側でパソコンを操作していた九条は、騒がしい従兄弟を凶悪な顔で睨み付けた。
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