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「中瀬さん、外崎さん!お待たせしました、すみません。もしかして、ずっと隣に居たんですか?」
そんなに魅力的な展示だったのかと思いながら祐羽が訊くと、ふたりは素直に頷いた。
「あぁ。色んなヤツ展示してあって面白かったぞ」
「それに、ふたりで話してたらあっという間だったよ。全然待ってないから気にしないで」
「本当ですか?」
申し訳なく摩湯を垂れる祐羽に、外崎が苦笑した。
「本当だよ」
「それより時間無くなるから見に行こうぜ」
ふたりにそう言って貰い安堵した祐羽は、早々に歩き出した中瀬の背中を見て(良かった)と笑顔で追いかけた。
「さて、どこに行くかな?」
「どこでもいいです」
「僕はふたりに任せるよ」
三人並んで廊下を歩きながら検討に入るが、祐羽と外崎は中瀬にお任せ状態だ。
「いや、待って。ふたり共いっつも俺に任せすぎな気がする」
「そんなことは…ねぇ?」
「はい」
中瀬の困惑顔に外崎が否定して、祐羽が頷く。
「この流れ、最近よく経験してるんだけど俺」
「あっ。地図があるよ、見てみようか」
ジト目の中瀬を置いて外崎の声に祐羽が反応してキャッキャとふたりは廊下の掲示板に貼られた地図へと寄って行く。
先に地図を陣取っていた男子生徒が隣に立つ外崎に赤面する様子に、中瀬は思わずこめかみを押さえた。
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