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祐羽のイメージ的にはBリーグかNBAスター選手なのだが、小さな手に大きすぎるボールでは格好はついていない。
「「「がんばれーっ!!」」」
「練習の成果を見せてくれよ月ヶ瀬ーっ!」
見守る仲間の熱のこもった応援にドキドキが次第に増していく。
「がんばって!」
外崎の優しい声援も耳に入った祐羽は(絶対に外せない)という思いから一気に緊張を増してしまい、気がつけば無意識にあっさりポンとボールを放っていた。
そうして放たれたバスケットボールは円を描くどころか投げ損じたボールはライナーで籠手前にぶつかった。
悲しいほど早く地面に落っこちたボールは勢いよく跳ね返ると、お利口な犬の様に飼い主である祐羽の元へと戻って来たのだった。
「う…」
戻って来たボールを見下ろす祐羽と、静まる周囲。
隣の子どもコーナーでは「入ったよママー!!」という幼児の嬉しそうな声が。
「祐羽くん…」
外崎が思わず呟いた次の瞬間、ドッと盛大な笑いが起きた。
「アーッハッハッハッ!最高ーっ、月ヶ瀬さすが!」
「笑いの神に好かれてるだけあるな!」
「バスケ部じゃなくてドッジ部じゃねぇか!!」
お腹を抱えて笑い転げる部員達に、とうとう温厚な祐羽が頬を膨らませ怒った。
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