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「失敗しただけですもん!手が滑っただけですもん!!僕はバスケ部で、ドッジ部じゃないですから!!」
睨みを効かせた祐羽は半べそで部員に詰め寄った。
高校入学を機に、憧れのバスケットボール部に入部して早半年。
確かに基礎すらまだまだだが、毎日の部活の他にも九条に付き合って貰って少しは上手くなってきた自負がある。
それに努力を否定された気持ちから悔しくなって、思わず先輩へも突っかかってしまった。
ドッジ嫌いというわけではない。
ドッジどうこうではなく、バスケ部という祐羽なりの小さなプライドがあるのだ。
祐羽の睨みなど全く怖くないとはいえ、可愛い後輩の半べそに宇佐美達は少し反省した様で「ゴメン、ゴメン」「悪かった。お前はバスケ部だよな」と落ち着かせると素直に謝ってくれた。
「選手よりはマスコット的な存在だけど」と田中がコソッと呟いたのを聞いた渋谷が「余計なこと言うな」と肘打ちを食らわせたが、幸運な事に祐羽からは見えてない。
そんな腹を押さえ悶絶する田中を背に、渋谷が「ちょっとちょっと~辛気臭いとお客さん来ませんよ!月ヶ瀬もバスケ部の意地見せて、客寄せしてくれよ」と祐羽へ声を掛けた。
「は、はいっ。…あの、僕、怒っちゃってすみませんでした」
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